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厚生労働省のHACCPに向けての動き
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厚生労働省では、従来停滞気味だったHACCPの普及に向けて、数年前より積極的に活動が行われています。
正直なところ、以下の2点が裏の事情にあるのではないかとささやかれています。
Ⅰ.2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックで海外から多くのお客様が来日され、その時に食中毒などが発生すると大問題となる。
Ⅱ.TPPは大筋合意しましたが、日本は海外に対して“食の安全”を要求するが、日本の食品企業のHACCPの普及率は海外に比べて低い。 等などの理由から
また、停滞気味だった理由として2000年に発生した牛乳の大型食中毒事件がHACCP(マル総)取得企業であり、その企業による事故であったためHACCPの信頼性が薄らいだ。
厚労省が認定しているHACCPではハードルが高すぎる…と言うこと等などが弊害となっていたようです。
そもそもHACCPとは、
①原材料の受入から最終製品を出荷するまでの製造工程のあらゆる段階において、発生するかもしれない危害(細菌の危害、異物の危害、化学物質の危害)をあらかじめ分析しておく(Hazard Analysis)
②製造工程のどの段階でどのような対策を講じれば、この予測される危害を許容可能なレベルまで取り除けるかを検討した上で,重要管理点(Critical Control Point)として定める。
③この重要管理点が、きちんと決められたとおり管理されているかを連続的にモニタリングすることにより、最終製品の安全性を確保しようとするものです。
従来の最終製品についてチェックしようと言うものとは、根本的に違います。
先程、海外での普及に比べて、日本は普及が遅れているといいましたが、欧米では、水産食品や食肉から順次HACCPの義務化が進められ、EUでは2006年から一次農産物以外の全ての食品産業にHACCP方式の導入が義務づけられています。 またアメリカでも2011年にHACCP概念の食品安全計画の策定・実行を義務づけた「食品安全近代化法」が成立しています。
今では、HACCPによる衛生管理は“国際基準”となろうとしています。
日本では、1995年に食品衛生法を改正して、HACCPの考え方を含んだ“総合衛生管理製造過程”の承認制度(いわゆる『マル総』)が創設されましたが、なかなかハードルが高く大手メーカーにしか導入が進んでいないのも実態です。
そこで厚労省は、少しハードルを下げてHACCP方式の普及に再度力を入れようと努力されています。
具体的には、以下のようなことが行われています。
① 導入支援のためのツールの提供(リーフレットや導入手順動画等、手引き書など)
② HACCPチャレンジ事業による事業者の応援
③ モデル事業による実例の積み重ね
④ HACCP普及推進連絡協議会を通じた関係者の連携(国、自治体、事業者、消費者団体など)
保健所などによる支援も得ることが出来ます。
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