ビタミン分析
ビタミンは生体の代謝に必要な微量栄養素で、糖質、脂質、タンパク質などの代謝で潤滑油的な働きをしていますが、生体で作ることが出来ないため、食べ物から摂取しなければなりません。
確認されているビタミンは13種類あります。ビタミンは大きく分けて2つに分けられます。
- 脂に溶ける脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK など)
- 水に溶ける水溶性ビタミン(ビタミンB群、ビタミンC など)
主なビタミンの種類と特徴 (カッコ内は、IUP-AC-IUB International Union of Pure and Applied Chemistry-International Union of Biochemistry の生化学命名法委員会勧告 常用名)
脂溶性ビタミン
1. ビタミンA(レチノール、レチナール、レチノイン酸) 単位 : μgRE
大きく「βカロテン」(緑黄色野菜などに含まれる) と 「レチノール」(動物レバーなどに含まれる)に分けられる。
- 特徴
- 眼、皮膚、粘膜の機能保護、癌の予防や抑制作用
- 欠乏症
- 夜盲症-とりめ、肌荒れ・皮膚炎、子供の成長障害
- 過剰症
- レチノール過剰で吐き気、嘔吐、下痢、手足の痛み、睡眠障害など
- IU-国際単位変換
- IU × 0.3 = μgRE
- 多く含む食品
- にんじん、緑黄色野菜、レバー、マーガリン、バター、卵黄、鰻 など
2. ビタミンD(エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール) 単位 : μg
ビタミンDは、細かく分けるとD2~D7まで7種類あるが、D4~D7は食品には殆ど含有無し。
- 特徴
- 骨や歯を丈夫にする。体内のCa濃度調整
- 欠乏症
- 乳幼児に不足するとくる病。女性や高齢者では、骨粗鬆症の原因。
- 過剰症
- 血管内にCa沈着。尿毒症。食欲不振、便秘、下痢など
- IU-国際単位変換
- IU × 0.025 = μg μg × 40 = IU
- 多く含む食品
- レバー、まぐろ、かつお、さば、ぶり、いわし など
3. ビタミンE(トコフェロール、トコトリエノール) 単位 : mg
ビタミンEは、“若返りのビタミン”と言われており、抗酸化作用があります。 血行改善、美肌効果、成人病予防作用が
- 特徴
- 活性酸素を減らし老化防止。血行改善。生活習慣病予防・美肌効果。
- 欠乏症
- 癌、動脈硬化、心臓病、脳卒中、肩こり、冷え性、溶血性貧血、しみ・そばかす 等。
- 過剰症
- 止血遅延
- IU-国際単位変換
- mg × 1.5 = IU
- 多く含む食品
- 植物油、胚芽、緑黄色野菜、豆類、うなぎ など
4. ビタミンK(フィロキノン、メナキノン、メナジオン) 単位 : μg
ビタミンKは、K1~K7の7種類が解っていますが、食品中に含まれるビタミンはK1とK2
- 特徴
- 止血時に血液凝固作用と骨へのCa沈着作用により骨を丈夫にする など
- 欠乏症
- 乳幼児内臓出血や頭部出血、骨粗鬆症
- 過剰症
- 血液凝固抑制剤使用時には注意が必要
- 多く含む食品
- 植物油、胚芽、緑黄色野菜、豆類、納豆 など
水溶性ビタミン
1. ビタミンB1(チアミン)
生命保持上、必要不可欠なビタミン
- 特徴
- 糖質(炭水化物)からエネルギーを作るビタミン。脳や神経系の機能維持。
- 欠乏症
- 脚気、ウェルニッケ症、(エネルギー不足による)疲労感、手足のしびれ
- 過剰症
- 無し
- 多く含む食品
- 玄米、大豆、豚肉、レバー、魚類、ハム など
2. ビタミンB2(リボフラビン) 単位 : mg
三大栄養素(糖質、脂質、たんぱく質)の中でも特に脂質からエネルギーや身体材料をつくる働きがある。
- 特徴
- 肉や食用油などの脂質からエネルギーを作る。
子供成長促進、大人皮膚・爪再生。 酸化防止。 - 欠乏症
- メタボリックシンドローム、動脈硬化リスク上昇。
口内炎、口角炎、皮膚炎、舌炎の発生頻度の上昇 - 過剰症
- 無し
- 多く含む食品
- 乳製品、レバー、豚肉、魚類、卵 など
3. ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサル、ピリドキサミン) 単位 : mg
三大栄養素(糖質、脂質、たんぱく質)の中でも特にたんぱく質からエネルギーや身体材料をつくる働きがある。
- 特徴
- 体の材料であるたんぱく質を作るときに必要なビタミン。
神経の伝達をスムーズにする。女性ホルモンの分泌コントロール、皮膚再生。 - 欠乏症
- 肌荒れ、失神。精神不安定化、体痙攣。
女性ホルモン異常によるイライラ・肩こり、腰痛 - 過剰症
- 長期間・大量摂取で神経障害が起こる可能性あり。
- 多く含む食品
- 肉類、魚類、レバー、牛乳、卵、豆腐 など
4. ビタミンB12(シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン) 単位 : μg
生体の造血機能に大きく関与している。
- 特徴
- 正常赤血球(材料:鉄分)の造血時に必要なビタミン。
睡眠リズムを整える。スムーズな神経伝達。 - 欠乏症
- 悪性貧血の原因となる大きな赤血球が出来る。睡眠・神経系・消化器官障害
- 過剰症
- 無し … 水溶性ビタミンは過剰分は、尿中に排出
- 多く含む食品
- 魚介類、レバー、チーズ、肉類、卵、豆腐 など
5. パントテン酸(パントテン酸) … ビタミンB群 単位 : mg
三大栄養素(糖質、脂質、たんぱく質)の代謝を助ける働きをしている。
- 特徴
- 免疫力のアップ、ストレスに対抗するビタミン。
善玉コレステロールを増やし、動脈硬化予防。皮膚の炎症防止。 - 欠乏症
- 免疫力低下、多くの病気への罹患増加。
善玉コレステロール減少による動脈硬化リスク増加。白髪増加・髪ツヤ減少。 - 過剰症
- 無し
- 多く含む食品
- 胚芽、緑黄色野菜、肉類、魚類、牛乳 など
6. 葉酸(葉酸、プテロイルグルタミン酸) … ビタミンB群 単位 : μg
三大栄養素(糖質、脂質、たんぱく質)から身体の細胞をつくる時に不可欠栄養素
- 特徴
- ビタミンB12と協力して、正常な赤血球を作る。(貧血防止)
胎児・乳児の正常な発育。動脈硬化や心臓病・癌の予防。 - 欠乏症
- 巨大赤血球による悪性貧血。赤ちゃん・乳児の奇形、発育障害。
口内炎などの粘膜異常 - 過剰症
- 過剰症は殆ど無いが、亜鉛の吸収悪化。
- 多く含む食品
- 野菜(葉)、胚芽、肉類、レバー、卵黄、豆類 など
7. ナイアシン(ニコチン酸、ニコチン酸アミド) … ビタミンB群 単位 : mgNE
三大栄養素(糖質、脂質、たんぱく質)をエネルギーに変えたり、アルコールを分解する。動脈硬化予防作用など
- 特徴
- 食品から、エネルギーを作るときに必要なビタミン
血中の中性脂肪やコレステロールを減少させ、血液をサラサラにする。
酒類(アルコール)の分解作用 - 欠乏症
- 皮膚・消化器-下痢・精神障害-認知症などを主症状とするペラグラ発症
口内炎、食欲不振 - 過剰症
- インスリン(血糖値抑制ホルモン)作用の抑制
胃腸の障害 - 多く含む食品
- 肉類、魚類、レバー、牛乳、きのこ類、豆類 など
8. ビオチン(ビオチン) … ビタミンB群 単位 : μgE
三大栄養素(糖質、脂質、たんぱく質)からエネルギーを作るときに重要な働きをする。
- 特徴
- 皮膚炎や脱毛を防ぐ効果。アトピー性皮膚炎治療に使われるビタミン
体内エネルギー再利用する働き - 欠乏症
- 皮膚炎、脱毛、白髪の増加
体内のエネルギー不足で、疲労感・倦怠感・食欲不振が起こる - 過剰症
- 大量摂取でも問題無し
- 多く含む食品
- 肉類、野菜類、乳製品、魚類 など
9. ビタミンC(アスコルビン酸) 単位 : mg
ビタミンの中で最も働きが多いビタミン
- 特徴
- 活性酸素(老化の原因)を減少させる。
ストレスホルモンを作る。血液中のコレステロールを減少させる
美肌効果(コラーゲン合成を助ける) - 欠乏症
- 壊血病(歯茎・皮膚内出血) 骨粗鬆症。免疫力低下での病気リスク。
- 過剰症
- お腹緩み、下痢を起こすことあり。
- 多く含む食品
- 柑橘類、柿、いちご、緑黄色野菜、芋類 など
分析項目
分析項目 | 所要日数(約) | 分析方法 |
---|---|---|
ビタミンA | 7日~10日 | 高速液体クロマトグラフィー |
カロテン | 7日~10日 | 高速液体クロマトグラフィー |
レチノール | 7日~10日 | 高速液体クロマトグラフィー |
ビタミンB1(チアミン) | 7日~10日 | 高速液体クロマトグラフィー |
ビタミンB2(リボフラビン) | 7日~10日 | 高速液体クロマトグラフィー |
ビタミンC(総アスコルビン酸) | 7日~10日 | 高速液体クロマトグラフィー |
ビタミンD | 14日~21日 | 高速液体クロマトグラフィー |
ビタミンD2 | 14日~21日 | 高速液体クロマトグラフィー |
ビタミンD3 | 14日~21日 | 高速液体クロマトグラフィー |
ビタミンE(トコフェロール) | 7日~14日 | 高速液体クロマトグラフィー |
トコフェロール(α、β、γ、δ) | 7日~14日 | 高速液体クロマトグラフィー |
ビタミンK | 14日~21日 | 高速液体クロマトグラフィー |
ビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩) | 21日~28日 | 微生物学的定量法 |
ビタミンB12 | 21日~28日 | 微生物学的定量法 |
ナイアシン(ニコチン酸) | 21日~28日 | 高速液体クロマトグラフィー |
葉酸 | 21日~28日 | 微生物学的定量法 |
パントテン酸 | 21日~28日 | 高速液体クロマトグラフィー |